top of page
執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

米国企業「株主還元」の本音・・・

2019/06/28 日本経済新聞

『米国企業、守りの株主還元』より

昨今の米国企業が株主還元を重視している背景には、成長投資に慎重になっている「守りの姿勢」の裏返しの側面も大きいとあります。

2019年に入ってからは、アップル・シスコシステムズといった主要企業も兆円単位の自社株買い枠の積み増しの動きもあり、税制改革で生まれた余剰資金にて新たな成長への投資よりも、株主に還元するという選択を行う構図のようです。米国市場では、新たな自社株買い(アバクロ)、および進行中の自社株買い計画の増額(アップル、シスコシステムズ)共に公表されています。こうした米国企業の自社株買いブームは2年目に入っています。18年にはトランプ政権下での税制改革での法人税引き下げを受け、主要企業500社の純利益は2割増となり、自社株買いが急増。また海外からの資金還流に、一回限り低税率が適用されることも株主還元への強い動機付けとなったとあります。企業の資金調達使途に占める自社株買いと配当額の株主還元が占める割合は、07年以降で最大となっている模様です。自社株買いが米国株式市場での最大の「買い手」となって堅調な株価の原因の一つとも言われています。


そもそもトランプ政権下での狙いは、減税をテコに企業の設備投資を促し経済成長を底上げすることであったと思いますが、現状では企業は「守りの姿勢」に徹していると言えます。尤も企業の投資計画には意思決定に多少の時間がかかりますので、「前向き投資」は19年に、、、との期待も、未だに兆しはないというのが現実です。企業間のM&Aにも異変の兆しが出ているともあり、米国投資銀行MSによると、「M&Aの助言業務で悪影響が出てきている」とあり、19年の成約M&Aの金額上位案件では、同業同士の合併・統合が多くなっているようです。この背景も、貿易摩擦の長期化を受け、成長分野への進出よりも競争激化や経営合理化を通じて、景気減速に備えた守りの色彩が強いとの分析です。


豊富な手元現金をそのままにしておくことは、モノ言う株主や投資家から合理的な活用を迫られ、そうかといって経済先行きが不安定の中で、積極的な新規投資も選択しずらいという、経営陣の考え抜いた上での「守りの意思決定」ではないかという気がします。

企業が将来の自信を持てずに株主還元を行う姿は、長期的な視点での企業活動について悲観的に考えて上での行動だとすると、、

少し心配な気もしないではありません。

閲覧数:9回

Comentários


bottom of page