バフェット流「米国経済・企業への期待の仕方」はどう変わる?
- RYUICHI MOTOHASHI
- 2020年5月16日
- 読了時間: 3分
2020/05/13日本経済新聞 FINANCIALTIMES翻訳記事『「バフェット流」は限界か』より
5/2米国投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会で、著名投資家
ウォーレンバフェットの言動と投資行動に違和感を覚えた人も多いだろうと
FINANCIAL TIMES翻訳記事が紹介されています。 バフェット氏は、「これまで通り個人投資家にとって最良の投資先はS&P500連動の
インデックスファンドだ」と強調する一方で、自らは巨額損失を覚悟しながら米国航空株を全額売却したようです。 そして「今後も米国経済に期待してよいが、どう期待するかよく考える必要がある」と
語ったのです。 基本的にバフェット氏の2つの投資戦略:①企業財務を徹底的に分析した上で、割安銘柄を買い値上がり後に売却する「バリュー投資」、②確固たるブランド力を持ち、海外でも持続的なビジネスを展開する米国企業に投資することには変化はありません。
割安株投資は利益が安定し、PERは低く、負債がほとんどない企業にこそ投資するのが基本としていますが、現在の米国では金融危機後、全世界の社債発行額は約2倍に膨張し、FRBによる量的緩和による資金供給で企業価値の割安割高が判断できない中では、株式投資に積極的になれない状況でもあります。 2つ目のブランドを持つ米国優良企業への投資では、昨今の自国主義が進みつつあり、各国で世界中で活躍できる自国企業を育てようとしている現在の状況では有効な投資手法であり続けるかについてはこれまでほど確実性はありません。 バフェット氏の投資先企業に対する考え方は、長期的な企業価値はその業界全体の変化に 左右されるという想定に基づくものであるようですが、米国人気質を象徴する消費行動を 受ける小売りについては、リアルな店舗が中心の企業の苦戦や、優良ブランドの経営危機がJクルーやJCペニーにとどまるとは限りません。
経済低迷が長引き、経営破綻が増えるようなら融資を提供する銀行業界の経営リスクも出てくるかもしれません。 一方、この逆境を乗り越えテクノロジー分野で主導権を握り、この先の事業を拡大してゆくかに期待される企業(マイクロソフト、アマゾンのようなプラットフォーマー型企業)でも、各国政府の規制、課税強化や収集したデータの適正な利用において、より厳しい経営環境が想定されます。
現段階では、FRBは何でもありとも思える資金供給・救済策によって、あらゆる業種・企業を無制限に支えて救済するとした形で、この流れの延長であるうちは、S&P500連動のインデックスファンドへの投資が合理的な米国株投資であるでしょう。
しかし今後、コロナと共存していかなければならない社会において、産業・企業の盛衰が変化する中で、FRBもすべての企業を救済するとは限りません。 株式投資は米国の優良企業を買って長期保有すればそれでいいという投資スタイルは、今後変化をしてゆくかも知れないと提言していました。 そして、同日紙面にはコロナによる生活変化によって脚光を集める米国の新興企業の
トピックもあります。 このような新しいビジネス発想やサービスが次々生まれ、どんどん成長してゆく土壌があるのも米国経済の奥行きの深さではないかと改めて感じ、是非紹介したい紙面でしたので、
この新興企業群のトピックについてはまた別の機会に。。。
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