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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

「債券代わり」だけではない、J-REITの投資ポイント

2019/11/16日本経済新聞『軟調REIT 国内勢買い』より


11月月初から先週後半(11/13頃)まで下落が続いていたJREITですが、地銀・信金等の国内機関投資家の「買い」が返ってきました


相変わらず債券での運用が困難な状況で、REITの相対的な利回りの魅力は薄れていないとの見方が投資継続の支えとなっているようです。不動産市況は堅調で分配金の伸びが期待でき、実物の不動産と比べてもまだ割安感ありとされていますが、そうは言っても注意すべき点はありそうです。


11/15の東証REIT指数は2日続伸、前日比+1.2%超の2,146ポイントまで戻して、前週末11/8に2%超の今年最大の下落後からは底入れしたような動きです。


国内投資家勢の買いはREITのETFの資金動向で強く見られています。因みにこのETFは国内金融機関の資金がほぼ9割を占めていると言われます。この動きは金利が無くなった「債券代わり」としてREITに投資資金が向う流れですが、どうやらそれだけではない理由もありそうです。


REITの対象資産である不動産賃貸事業に成長余地が残されていると言われています。10月の東京都心5区のオフィスビル空室率は過去最低、前年同月比の賃料上昇率は7%弱と高水準で推移しているようです。こうした状況は、REITの分配金がまだまだ成長できる事を示唆しています。


実物不動産と比べたREITの割安感も指摘されています。世界的な機関投資家の物件取得意欲(これは過去のコラムでも紹介しました)を背景に東京都心オフィスビルの期待利回りは3%台前半まで低下(物件価格は上昇)しています。一方でREITの予想分配金利回りは約3.6%と実物を上回っています。

※記事では単純に利回り比較だけですが、REITは借り入れも合わせてレバレッジを効かせているのでこれは当然。寧ろレバレッジを使って3.6%というのは、、、どうなんでしょう?


反対に本記事では懸念すべきことも指摘されています。

ここまで一本調子で堅調なREIT市場ですから、年明け以降に見込まれる新規物件取得のための公募増資が例年以上に多くなりそうだとあります。

※こちらの懸念には同感です。


例年1-3月はREITのスポンサーである不動産会社の3月本決算に備えて保有物件をREITに売却する動きも多くなる時期でもあります。さらに株式でPBRに相当する指標のNAV倍率も、最近のREIT全体では1.2倍を超え目安となる1.0倍を上回っており、増資には良い条件が揃っています。


ただ好調な不動産市況の中で買い入れ物件価格も上昇していることも紛れもない事実ですし、スポンサー都合(物件を売却しれ利益を出したい等)やキチンとした目利きをして質の良い物件を買い入れしないと、REITの投資口の価値が毀損してしまいます。


このREITの中身の品質維持管理こそが、分配金の原資を賃料収入に頼るこの資産の「肝」ではないかと思います。

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