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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

バランスファンド、二つの新潮流・・・

2019/10/21日本経済新聞夕刊 『デリバティブ活用の新顔投信広がる』、

2019/10/22日本経済新聞 『バランス型投信 残高10兆円に』より


今週の投信関連トピックスは、二つの新しい投資信託の正反対のトレンドが比較できます。

10/21夕刊「デリバティブ活用新顔投信」、10/22「バランス型投信 残高10兆円超に」

とあります。


まず前者、最近の投資信託では、債券や金など株式と値動きが異なる資産を組み入れる商品が増えており、いずれも債券のデリバティブを活用して株価の下落リスクを緩和する設計が、投資家のニーズに合致し人気化しているようです。実際、この11月、12月にも様々な 趣向を凝らした同様の投資信託(9割を米株、1割を米国債先物、バランス型3倍/〇倍?)も設定されるようで、株式が下落する場合でも債券が上昇するシーソー機能のうち、債券上昇に倍率がかかっているのが多いパターンのようです。これは少し前に登場し始めた日興アセットマネジメント「グローバル3倍3分法ファンド」、アストマックス「ウルトラバランス世界株式」のヒットを見た、運用会社各社の第二次営業戦略ステージです。

「資産〇分散」、「バランス型」とネーミングされていますが、昨今のように世界経済の 結びつきが強くなって、資産間の動きが同じ方向に動きやすい傾向にあり、かつ低金利状態が長引く中、そもそも株式の下落分をカバーできる債券の上昇もそれほど期待薄の状態なので、その「上昇のりしろ」に1.5倍、3倍、〇倍とテコを効かせるというのは、コンセプトとして少々違和感があるのは私だけでしょうか?

ただし、お客さまの中には「まだまだマイナス金利が深くなって、株式が下落した時に少しでもリターンを」と期待する方には良いかも・・・ですが。


そして後者「バランス型投信残高10兆円超える」。こちらはむしろ王道の長期・分散・(中には)積立投資によって、着々と残高を伸ばしているという内容です。株式・債券といった世界の資産に広く分散投資するバランス型投信の資産残高は19年9月末で10兆円を超え、分散投資でリスクを抑え長期での投資に向いているというオーソドックスな側面がフォーカスされ、積み立てや企業型確定拠出年金での活用が増えています。

この本来の意味での「バランス型ファンド」はつみたてNISAやイデコ(個人型確定拠出年金)の普及や利用対象者の増加に伴って、シンプル化・低コスト化等、着々と進化しています。同時に利用する若年層を中心とした個人投資家も、教育資金や老後資金といった投資目的を明確にし、一定のリテラシーを備えた上で、長期で投資を継続するという動きも、バランス型ファンドの着実な資産増につながっていると思います。


今が旬?の「〇倍型バランス投信」、長期で着実に王道を押さえた「資産分散型バランス投信」、どちらもご自身の趣向・目的・スタイルに合わせて選択するのが一番です。

※ただ私は、断然シンプルな正統派バランスファンド志向ですが、強いて言えば、より多くの資産間の動きを分析して、異なる動きの多くの資産に分散投資するようなバランス型ファンドは尚良しかなと思います。

それくらい、従来の株式と債券に分散投資しておけば十分、、、という

従来型の「分散投資」は時代に合わなくなって来ている「複雑系経済」の現代です。

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