2019/10/12日本経済新聞 『REIT「全員買い」警戒』より
現在、投資マネーが一点集中している先がJ-REIT市場です。生保・損保・地銀・信金等の機関投資家、投資信託を通じた個人投資家、海外からの外国人投資家、そして極めつけはアノ大投資家の日銀が全員買い集合です。東証REIT指数は年初から25%を超える上昇となってきており、「皆で買えば怖くない」という買い投資家の全員集合状態は、流石に高値警感も聞かれるようになりました。
東証が10/10発表の投資部門別売買動向では、1-9月の生損保の買越は635億円、もともと
外債運用が中心であった生損保も5月以降利回り確保のためにREITへの投資を積極化しているようです。「割高なのは解っているが、株式のリスクはとれずREITを買わざるを得ない」との生保の本音コメントも。
(割高だけど、、、買わないと、、、ウーン、どこかで聞いたことあるコメント)
4月以降、利食い売り傾向であった海外投資家も、9月には大幅な買い越しで、見事に銀行の決算対策の売りを吸収しているようです。都心5区の9月オフィスビル空室率は過去最低水準であったことも投資家からは買い安心材料となっています。
スイス金融大手UBSのデータ調査機関の投資家調べでも、5割を超える投資家が日本のREITを「とても強気」又は「強気」となっているようです。誰も彼も強気一辺倒で、アクセル踏みっぱなしのJ-REITの状態は、少し嫌な予感がしてきます。同UBS推計でも、投資口価格あたりの配当成長を見ると、5年間で40%-50%程度の増配が期待されており、賃料上昇を考慮しても割高感が否定できないともあります。この高値警戒感を意識し始めたきっかけとなったのは「シェアオフィス」の先行き懸念のようです。
先日We Workを運営する米国ウィーカンパニーの上場延期は記憶に新しいですが、米国に比べて日本のシェアオフィス占める当社(We)の面積割合はまだ小さいと思われます。
とは言え、シェアオフィスというビジネスモデル自体に「ダイジョウブかな?」となってきたのは確かです。CBREリサーチでは18年のコワーキングオフィス(シェアオフィスのうち、他者と交流が可能な施設)の新設面積は前年比2倍強に広がっており、東京23区の賃貸オフィスビルの成約面積のうち、コワーキングオフィスの割合は約4%、規模はまだ小さいながら比率は着実に上昇しているとのこと。
このシェアオフィスの成長足踏みは、今後のオフィス市場全体、賃貸用不動産市場、そしてそれらとリンクするJREIT市場のセンチメントに少なからず影響を与えそうな予感です。
どんな資産市場でも同じですが、皆がいいねと思ってこぞって殺到する先には、逆回転の落とし穴があることを認識して、そろそろ注意を払うのが賢い投資家かもしれませんね。
因みに、私はシェアオフィスには全くの賛成派です。これからの新しい柔軟な働き方にピッタリのオフィスの形です。私自身もPC1台あれば1日1400-1500円で仕事ができる自宅近くのコワーキングスペースをよく利用しています。ただ、華美なファシリティ(豪華な応接やビールなどのフリードリンク制)やウィーワークの様に運営が完全米国スタイル等の日本に合わないスタイルには疑問ですが、、、
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