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執筆者の写真RYUICHI MOTOHASHI

バブル崩壊の形とは?

2019/10/03日本経済新聞夕刊 十字路 『バブル崩壊の形』より。


バブルは経済の不況化と共に崩壊するとあり、長期金利の大幅な低下が株価急落に先行するのは、不況とデフレの深刻化を債券マーケットがいち早く反映するからとしています。


今回のバブルのテーマは「企業債務」の急増です。米国については時々紙面で警鐘を呼びかけれられていますが、中国・欧州・日本もまた然りです。超金融緩和・超低金利の状況の下、資金調達が容易(安易?)になった企業は、巨大な債務調達を行い、過大な投資を行っています。債務残高が膨らむだけではなく、GDPに対する割合も上昇しており、中国では2009年の100%程度(GDPと同程度)から直近では150%強まで膨張しているとのこと。

経済の伸びをはるかに上回る無駄な投資が行われ、これは不況と共に整理されようとしているとして、フォード・モーター社債がジャンク級に格下げされたことを例示していました。このことは、フォードという固有企業1社が過剰投資をしたということではなく、不況化によって業界全体の過剰設備に焦点が当たり、経営状況が弱い企業から問題が顕在化して来るという構図になっています。さらに過剰設備の問題だけではなく、M&Aや自社株買いを債務の増加で賄ってきた企業の財務状況の悪化と格下げが目立ってきており、筆者はこれを、「トリプルB社債危機」と言ってよい展開だとも。米国社債市場は6兆ドル弱(約640兆円)の規模であり、そのうち約半分の3兆ドル程度がトリプルB格(これ以上の低格付けはジャンク債)となります。ここまで投資適格ギリギリボーダーラインのトリプルB社債が存在感を高めてきたのは、2010年代の超金融緩和の下、多くの投資家が少しでも高い利回りを求めて、こうした社債への需要が強かったからでしょう。


最後にバブルの崩壊は、こうした過剰投資と過大債務の整理にとっては必要なプロセスであると言っていますが、この整理は必ず不況を激化させ、より深刻化させてしまいます。

そういうことを想定して、どのように対応するのか、バブル崩壊後の経済政策をどのように行うかが問われると言っていますが、、、バブルに湧く陶酔経済と、その後の崩壊は程度の差こそあれど、幾度となく繰り返されてきましたし、多分これからも繰り返されるのではないかと思います。


ただ、バブルは終わって始めて、「あの時は危ないと思っていた・・・」と振り返るものでもあり、経済活動に参加している当事者に、「気付いて対処する」、「崩壊を想定して対応する」というのは恐らく難しい。。。しかし投資家として、「ほどほどの水準で一度休む」ことは可能ではないかと思います。そろそろ長期でリスクを取った資産運用が難しくなってきたと感じるシニアの方、投資資金が思った以上に大きくなってしまったと感じる方には、再考しても良い時期かとも思います。

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