2019/09/15日本経済新聞 『マネー、リスク資産回避』より
世界の金融市場では、再び投資マネーが株式などのリスク資産に回帰して来ています。その理由は欧米の主要国中央銀行が金融緩和姿勢を強め、米中の貿易摩擦の警戒感もやや後退しているためです。
米国NYダウは過去最高値に近づき、日経平均株価も約2年ぶりに9日連続上昇しました。一方でこれまで金利低下(債券価格は上昇)が急激に進んでいた国債への資金流入はストップしています。
世界での主要資産の動きはというと、9月に入ってからは株式の上昇が目立っています。
米国ダウ平均は13日までに8日連騰、8月末比で3%上昇。7月につけた最高値(2万7,359ドル)まで、あと140ドル、世界の主要株式市場でも殆どが上昇、MSCIオールカントリーワールド指数は7/30以来のほぼ1ヵ月半ぶりの水準を回復。日経平均も8月末日で6%上昇、13日には約4ヵ月ぶりに22,000円に一時乗せました。
最近は海運、金融、機械などの割安大型株の戻りが大きいという印象があり、「日本株は世界的にも割安感があり、リスクを取る雰囲気が強まる中で海外投資家からの買戻しも多くなっている」との市場関係者の声もありました。
また逆に、これまで資金が向っていた債券などの安全資産には利益を確定する売りが出ており、米国10年物国債利回りは13日に一時1.9%台まで上昇(債券価格は下落)し、日本やドイツでも長期金利は上昇しています。リスク回避資産の金も売られており、約6%上昇していた8月からは一転、9月に入ってからは2%程度の下落となっています。
この背景は、投資家のリスク選好の急回復です。欧州中央銀行は金融緩和の強化(12日)、米国FRBによる追加利下げもほぼ確実とされており、世界的な金融緩和への期待感や、米中の摩擦をめぐる警戒感もやや薄れていることが、これまで過度な景気後退への懸念を抱いていたリスク回避となっていた投資家心理を再び強気へと向かわせています。
ただ市場関係者の中でのコメントを整理していると、やはり景気や企業業績の底打ちははっきり見えない、世界的に不確実性を随所(英国・欧州・米国・中国・中東等)に内在していることは依然変わりない中では、この再びリスク資産へのマネー回帰は過度な悲観で疲労が溜まった投資家の買戻しに過ぎないかも。。。。とぬか喜びせず冷静になる必要はありそうです。
ついこの間まで、やはり世界経済も後退の入り口・企業も業績が悪化するなんて言って株式を売っていた人たちの行動ですから、日々落ち着かない「猫の眼マーケット」でこそ、しっかりした投資観が大切です。
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